(前回の記事は こちら ) 

昨日のエントリでは、息子の英語力と日本語力が同じ速度で上達していると思い込んでいたという話をしました。
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なぜかと言うと、私たち夫婦(両親)は日本人です。ふたり揃って生まれてこのかた30余年、日本から出て暮らしたことのない純ドメスティック仕様です。なので、親子の会話はオール日本語です。我が家ではおはようからおやすみまで、日本語の一社提供でお送りしているわけです。

実際、息子と日本語で会話していて、外国人の方と話したときのような「あれ? この人、日本語が通じない?」という違和感はなかったし、リスニング力に配慮して手加減してゆっくり話すこともありません。それでもふつうに会話が成立していたので(たまにルー大柴っぽく英単語が混じることはあっても)、なんら問題は感じていませんでした。

英語も同じで、セブに来て1年も経つと、幼稚園のお友だちや先生に英語で意思を伝えられず、うまくコミュニケーションが取れないという場面はほとんどなくなっていました。

つまり、幼稚園では英語、家庭内では親と毎日のように日本語を話しているんだから、英語力も日本語力も同時に伸びているはず、というのが冒頭の思い込みの理由です。うん。おめでたい。おめでたすぎるぞ1年前の自分!

そう、問題は「私たち(親)は言語発達のプロじゃない」ってところなんです。


会話が問題なくできていても、本当の語学力はわからない


言語発達のプロというのは、子どもの言語能力が年齢に応じて適切に発達しているかどうかを評価・指導する専門家のことです。もっと具体的に言うと、言語聴覚士 の資格を持っていらっしゃる方々のことです(ちなみに国家資格)。

子どものことばの発達には、さまざまな段階があり、年齢にともなって連続的に変化していきます。だから専門家でも何でもない私が「ふむふむ、日本語で会話できてるから大丈夫!」とか太鼓判を押したところで、なんの根拠もないわけです。

で、怖いことに、それは英語についても同じことが言えるんですね。そもそも私たちバイリンガルじゃないですから。エンジョー(angel)が聞き取れないレベルの英語力をふりかざして「息子が英語を話せるようになった。すごい!」とかいったところで、プロからみたら「このドシロウトが!!!」って一蹴されて終わりですよ。たぶん。

一方「幼稚園に通っているなら英語が話せる先生がいるじゃないか」って思うじゃないですか。もちろん彼女たちは保育のプロではあるんですけれども、残念ながら言語発達のプロではないんですね。彼らが息子の英語力を的確に評価できるかと言ったら、それははなはだ疑問です。

つまり私たちは、息子の日本語力・英語力がちゃんと発達しているのかどうか、誰も判断できない状態で子育てしてるという状況に置かれていたわけです。例えば、息子は英語で話すとき「三単現のS」をまだきちんと使えません。過去形と現在形も、きちんと区別できずに混同していることが多いです。それは、果たして5歳児の英語力として「ふつう」なのか、それとも「ちょっと遅れている可能性がある」のか。それを知る手だてがない、ということなのです。

ということは、私がこれまで信じてきた「帰国子女はみんなバイリンガル」説も、単なる思い込みにすぎなかった、ということができます。ただ会話している姿をみているだけでは、本当の日本語力・英語力はわかりませんからね。彼らの中には、もしかしたら「話せるけど書けない・読めない」という人が、相当数いるかもしれないのです。

海外で長期間、暮らしていたために、日本語力も英語力も中途半端で不十分な状態におちいってしまう——。いわゆる「セミリンガル(ダブルリミテッド)」と呼ばれる問題が、私たちの身に現実として降りかかっていました。

つづく


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