昨日書いたエントリ セブ島で理想的な「親子留学プログラム」を考えてみる vol.2 〜 カリキュラム篇のつづきです。

昨日は親子留学、とくに短期間の親子留学では、子どもたちが英語を好きになる「土台づくり」が重要だと書きました。
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これは私自身が親子留学をして、息子が英語ぎらいになりかけた経験から得た実感なのですが、それはあくまでも私の個人的な意見に過ぎません。なので今日は、その「土台づくり」について、さまざまな論文や書籍を当たりながら紹介してみようと思います。

英語を学ぶことそのものが「楽しさ」に直結することが重要


子どもが英語を好きになる「土台づくり」というのは、言い換えると「英語学習をつづけるための動機づけ」です。

仕事でも勉強でも何でもそうですが、人が何かに取り組んで目標を達成するためには、モチベーション(動機)がとても重要です。みなさんも経験があると思いますが、自分の興味のあることは寝る間も惜しんで取り組めるのに、学校で強制される試験勉強にはまったく身が入らない、みたいなことってよくあるじゃないですか。そういう「やる気」の有無は、英語の習得にも大きな影響を与えるんです。

米国ピッツバーグ大学の言語学教授・白井恭弘さんの『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』 という著書に、次のような文章があります。

日本人が英語ができない、もうひとつの大きな理由には、動機づけの弱さがあります。つまり、日本にいれば、英語が使えなくても実際問題としては困らないのです。

これは本当にその通りで、「必要性を感じない」というのはモチベーション・アップの最大の敵です。例えば、私が住んでいるセブ島(フィリピン)では、英語を学ぶためのモチベーションがハンパなく強いです。それは何も大人に限った話ではなく、子どもにも「英語を学ぶ強い動機」があります。それはなぜかというと、

テレビで放映されているアニメやドラマがほとんど英語だから。

なんですね。これは私が語学学校で学んでいるときに、数多くのフィリピン人教師たちに聞いて調べたことなので間違いじゃないと思うんですが、みんな口を揃えて「テレビ番組で英語を学んだ」って言うんですよ

フィリピンは日本と違って、現地語で放映されている娯楽コンテンツの数が限られているんですね。でも、子どもはテレビ番組を観て楽しみたい。それは世界共通です。テレビでアニメやドラマを観るためには、英語がわからないと楽しみが半減するんです。

もちろん、彼らが英語を学ぶ動機はテレビだけではないですよ。英語が話せると、海外に出稼ぎにいったり外資系の企業に就職できたりするメリットがあるので、そういう理由も大きいです。でも、子どもに関しては「英語を学ぶ=楽しみが増える」というモチベーションが大きいと思います。だからみんな、テレビを通じて楽しみながら英語を学んできているんです。

さて、白井教授の著書に話を戻すと、英語学習の動機づけには「道具的動機づけ」「統合的動機づけ」の2タイプがあるといいます。

第二外国語の動機研究の第一人者といわれるロバート・ガードナーによれば、「道具的動機づけ」というのは、先ほど紹介したフィリピンの例のように「よりよい仕事に就ける」みたいなものや「受験でいい成績を取ればいい大学に行かれる」みたいな実利的な目的のための「道具」として英語を位置づけ、勉強する場合のモチベーションです。

一方「統合的動機づけ」は、英語を話す人々に対する共感や、彼らの持つ文化、英語で語られる物語や世界観に共感し、それらを深く理解したいという思いが原点となったモチベーションのことです。白井教授の著書では、その2つの動機づけについて、以下のようにまとめています。

ガードナーは、道具的動機づけも外国語学習の成功と結びつくが、その成功は短期的なもので、長期的には統合的動機づけのほうが重要になり、また統合的動機づけはほとんどの研究で外国語学習の成功と結びついている、ということを強調しています。

さらに白井教授は、ノッティンガム大学のゾルタン・ドルニェイの研究を紹介しながら、こう述べています。

このような研究で明らかになってきたのは、それまでの研究ではあまり重視されなかった、学習者がどういう学習活動に従事するかとか、教師がどういう教え方をするかが動機づけを大きく左右するということです。

このゾルタン・ドルニェイさんは、動機づけを高める英語指導ストラテジー35  という著書で、学習者のモチベーションを高めるための35のポイントについて詳しく紹介しています。その中のいくつかを紹介してみましょう。

  • 教室に楽しく、支持的な雰囲気を作る。
  • 生徒の学習を真剣に受けとめる。
  • 仲間のお手本を見せることで、言語に関連する価値観を高める。
  • 特定の課題および学習全般に関する生徒の成功期待感を高める
    →「できた!」という達成感につなげる工夫
  • 教育課程と教材を、学習者に関連の深いものにする。
  • 定期的に励ましを与えることにより、学習者の自信を育む。
  • 肯定的情報フィードバックを学習者に与える。

つまり、ここまでのポイントをまとめると、子どもたちの英語学習へのモチベーションを高めるには、「英語を話す人々の文化への興味・理解」を育みながら、指導する教師たちが「成功体験」や「肯定的なフィードバック」を与え、英語を学ぶことそのものが楽しさに直結することが大事なのです。

また長くなってしまって脳科学の話まで辿り着かなかったので、明日も続きます!

【今日の参考図書】


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