昨日の記事 韓国人の語学学校マネージャーに聞いた「韓国のエージェント&親子留学の最新事情」vol.1 のつづきです。

 先日、語学学校の韓国人元マネージャーのK氏と留学エージェントをはじめた韓国人のPさんとミーティングした、というのはすでにお伝えしたとおり。今日は複数の韓国系のスクールでスタッフとしてかかわってきたK氏の話を中心に紹介します。

 彼は韓国系のスクールでこれまで数々のジュニアキャンプの運営に携わってきたといいます。私たちの住むアパートで開催されていた中学生向けキャンプも、彼がディレクションしていました。
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冬休みキャンプに参加していた韓国の中学生たち。みんな元気かなあ。。。

 英語教育がさかんな韓国では、はやいうちから子どもを留学させることはもはや珍しいことではありませんが、その分、キャンプ運営に対する保護者の目はとても厳しいものがあるそうです。

「詰め込み教育」で基礎を叩き込むスパルタ式が歓迎される韓国

 まず、非常に重要なのが「講師の質」。とくに韓国のお母さんたちは、非常に発音に厳しいといいます。厳しい経済状況下にある韓国では、グローバル社会で通用する人材にならなければ、よりよい就職や昇進が望めないため、保護者の間に「子どもには出来る限り高い英語力を身につけさせたい」という思いがとても強いからです。たしかに、英語ネイティブでない私たちにとって、相手の英語力が高いか低いかを判断する際、発音というのはいちばんわかりやすい指標です(保護者は、話してる内容の文法的な正しさをジャッジできるほど英語力がないケースが多いですからね……)。なので、発音がアヤシいというだけで、保護者の不信感につながってしまうんだそうです。

 また、カリキュラムに対しても保護者の厳しいチェックの目が光ります。30名、50名を超す子どもたちが参加するジュニアキャンプの場合、期間が限られていることもあり、ひとり一人の英語力をチェックしてそれぞれの英語力とペースに合わせてカリキュラムを作ることは事実上、不可能です(現場のオペレーションが複雑になりすぎる)。また、そのやり方だと、キャンプ終了時に参加者が到達する語学レベルにばらつきが生まれてしまうため、クレームにつながりやすいといいます。そのため英語の基礎にフォーカスしたカリキュラムをガッツリ組んで、とにかく決められた学習課題を期間内に修了させる、というスタイルがベストなんだそうです。

 とはいえ、参加時点での英語力に差があるので、結果にも差が出るのは当然ですし、そんなにハードに教えたら英語が嫌いになってしまうのでは……と思ってしまうのですが、Pさんいわく「韓国ではそんな悠長なことは言っていられない」。

 韓国では、学校の授業が終わると、多くの子どもたちがいわゆる「塾」に通います。塾は英語や理数系の科目を中心に教えるところが多いそうで、子どもたちは当たり前のように夜9時、10時まで勉強します。たしかにK氏がうちのアパートでキャンプしてたときも、とにかくみんな猛烈に勉強していました。授業後も、韓国人スタッフが夜遅くまで生徒たちにつきそって、予習や復習の個別指導をしていました。

「私にも子どもがいますが、日本の子どもたちが放課後にする習い事は、サッカーや野球、ピアノやアートなどで、韓国とはぜんぜん違います。これは本当にすばらしい。子どもたちにとって、勉強を強いられない環境は、どれほどすばらしいか。でも、日本も経済が悪くなれば、韓国のようになっていくかもしれない。日本という国、そして日本人は、とても優秀で高い能力を持っています。アジアを見渡しても、なかなかこんな国はありません。英語教育に関してはもっと改善が必要ですが、これで国民全体が英語を話せるようになったら、日本はさらに成長を遂げるでしょう。日本がアジアに果たす役割は大きい。私は留学エージェントとして、日本のグローバル化に貢献したいと思っているんです」(Pさん)

 そんなPさんは、K氏といっしょに、これからフィリピン留学を推進する活動を本格的にはじめるそうです。日本人である私以上に、日本の将来を思い、グローバル化に貢献したいというPさんの熱い思いに、昨日はとても感銘を受けました。

目指すゴールが異なる日本と韓国の英語教育

 いずれにしても、完全に「グローバルエリート」の輩出を目指している韓国と、グローバル人材の育成に動き始めたばかりの日本では、英語教育に対する熱量も方向性も大きく異なります。今回彼らの話を聞いて、韓国のスタイルをそっくりそのまま真似たプログラムが、日本の子どもたちにとってプラスにはたらくかどうかは未知数だと思いました。実際、K氏によれば、早期留学が韓国の子どもたちの進学や就職にきわだって有利にはたらいている、というような統計的データはないといいます。

「早いうちに留学を経験すれば、しなかった人に比べて、相対的に英語力は上がるでしょう。でもそれが将来、必ずよりよい進学や就職に結びつくかといえば、そうでなはない。結局は、留学後にそれぞれがどれだけ努力したかが決め手になると思います。重要なのは、韓国ではすでに『早期留学』が英語を身につけるための一つの手段として確立されているということ。一部の特別な人だけのものではなく、多様な英語教育の選択肢の一つとして認められているのです」(K氏)

 K氏とPさんの話を聞いて、とても考えさせられてしまいました。英語を「必須のスキル」としてなかば強制的に身につけなければいけないような空気。放課後も勉強に明け暮れ、友達との時間やスポーツ、芸術を楽しむ余裕のない子どもたち。そこまでやっても、いい就職や昇進ができる保障のない厳しい経済状況……。

 でも私は、やっぱり「楽しみながら英語に親しみ、英語に対する長期的なモチベーションを育む」というプログラムを目指したい。いったい、日本の子どもたちの早期英語教育は、どうあるべきなのか。子どもたちに負担をかけずに、英語力を高めていくには、どんな方法が最適なのか。最近、毎日そんなことを考えています。

 なかなか「コレ!」という正解に辿り着くのは難しいことかもしれませんが、これからも教育関係者や専門家の方々のアドバイスに耳を傾けながら、親子留学のベストな形について、研究をつづけていきたいと思います。


 
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