また新しい本を1冊、読み聞かせ終了しました。

クレヨン王国の十二か月 (講談社青い鳥文庫)
クレヨン王国の十二か月 (講談社青い鳥文庫) [新書]

『クレヨン王国シリーズ』は、1980年に創刊された「講談社青い鳥文庫」から刊行されている児童文学シリーズ。90年代後半には、テレビアニメ化もされていたので、ご存知の人も多いはずです。

私が『クレヨン王国シリーズ』を知ったのは、たしか小学校3年のころ。まさにこの『クレヨン王国の十二ヵ月』が最初でした。

大晦日の夜、7歳の女の子・ユカは、初日の出をスケッチするため、枕元に12色のクレヨンを置いて眠りにつきます。真夜中、物音に目を覚ましたユカは、クレヨンたちが何やら会議している内容を耳にします。なんとクレヨンたちは、12色のクレヨンが12ヵ月を治めるクレヨン王国の大臣たちで、突然家出してしまった王様を探し出す方法を議論していたのです。

ゴールデン王が家出した理由は、12個の悪い癖をなかなか直さないお妃・シルバー王妃が原因でした。王様は「王妃が12の悪い癖を直さない限り絶対に戻らない」と書き置きして行方不明。まあ、要するに、ダメな妻に夫が三行半を突きつけたってことですね。

ユカはクレヨンの大臣たちに頼まれて、シルバー王妃の「お付きの者」として一緒に王さまを探す旅に出ることになります。シルバー王妃は身元が割れないように「マリ姉さん」と名乗り、ユカは妹ということにして、一月の国から十二月の国まで十二ヵ国を旅していくのです。

読んでいてじつに秀逸だな、と思うのが、王妃の悪い癖は誰しもが少なからず持っていて「直さなきゃな〜」と思っている部分だからです。例えば、

・ちらかしぐせ
・おねぼう
・うそつき
・じまんや
・ほしがりぐせ
・けちんぼ
・人のせいにする
・うたがいぐせ
・おけしょう三時間

どうです? 心当たりありませんか? 私は「おけしょう3時間」以外、だいたい当てはまるので、息子に読み聞かせしながらだいぶ後ろ暗かったです。息子も若干心当たりがあったのか、ドキッとした顔をしていたのがおもしろかったですw

王妃とユカが訪れる12の国には、それぞれ個性豊かなキャラクターが登場します。彼らにはそれぞれ王妃の悪癖が投影されていて、王妃は旅を通じて自分の悪癖を客観視し、しだいにその「悪い癖」を克服していく、という内容になっています。でもお話自体はまったく教訓めいていなくて、7歳の女の子の冒険譚としてテンポよく進んでいきます。

この話をはじめて読んだ小学生の頃は、主人公と年が近かったせいもあり、だいぶこの世界観にハマりまくりました。影響を受けすぎて「自分もクレヨン王国みたいな話を書こう!」と決意し、学校の先生から原稿用紙をめぐんでもらって、いっしょうけんめい創作活動した記憶があります。

内容は「夜中におもちゃが動きだして、主人公がおもちゃの国の危機を救うために冒険をする」というあからさまなパクリ設定のストーリーでした。言うなれば、劣化版のトイストーリー。絶対にディズニーから映画化のオファーはこない。

ちなみに、クレヨン王国シリーズの生みの親である福永令三さんは、当初は小説家(大人向け)を目指していたそうです。ところが、賞金に惹かれて応募した児童文学賞で大賞に輝き、それをきっかけに童話作家へと転向したそうです。

クレヨン王国シリーズに通底する、深い洞察にもとづく人間描写は、作者が文学を志す過程で得た気付きに満ちているように感じました。

たくさんシリーズがあるので、いろいろ揃えて息子に読んであげようと思います。

私も「ちらかりぐせ」と「おねぼう」と「人のせいにする」のをいい加減なおさないと夫に家出されてしまうかもしれないので、あらためて精進したいと思います。うふふ。




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